ありがとうございました

 報告が遅れましたが、市立米沢図書館デジタルライブラリーは、平成25年3月27日から予定していた100点の資料公開を開始しました。公益財団法人図書館振興財団様を始め、いろいろとアドバイスをいただきました関係機関の方々や、デジタル化や公開スステム構築を担当していただいか方々に感謝申し上げます。
 
 
 おかげさまで、市立米沢図書館デジタルライブラリーは、各方面から好評をいただいております。とある大学院生からは、通学列車の中でスマートフォンから史料がみられ感激しているとのメールもいただきました。当方では想像もしていなかった利用のされ方に、驚いているところでもあります。また、デジタルライブラリーで史料を見たとの問い合わせや、画像の利用希望も増えてきている状況です。今後も、広報活動などに力を入れ、利用拡大を図っていきたいと思います。
また、平成25年度は、引き続き米沢善本完全デジタル化事業を助成事業に採択していただきました。また、H25年度のブログで進捗状況や図書館活動を紹介してゆきたいと思います。

市立米沢図書館蔵の書籍 89年ぶりに沖縄へ一時里帰り !!

当館所蔵の郷土資料の中の特別コレクション「米沢善本」と「林泉文庫」の中には、沖縄に関わる珍しい書籍が入っていましたが、今回、沖縄県うるま市で開催される〝「伊計村遊草」等原本資料展〝に貸し出されることになりました。    
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なぜ東北の市立米沢図書館に沖縄の書籍が入っているのか、不思議なことですが、これは市立米沢図書館第二代館長で、上杉家記編纂所総裁を勤めた歴史家・伊佐早謙氏のお陰です。伊佐早は、第二代沖縄県令として沖縄の治世に尽力した上杉茂憲(最後の米沢藩主)の事蹟を調査するため、大正13年(1924)に沖縄を訪問しました。その際、漢詩も好きであった伊佐早は琉球漢詩に深く興味を持ち、漢詩関連の書籍を多く買い求めたものと思われます。『香草斎詩註』には、大正13年に買い求めたことと、林世功遺本を宝として書室に常置することを記しています。また帰国後は沖縄の漢詩を独自に編集した「琉球文伝」(『沖縄県史料』に収録)も作成しています。
 沖縄の漢詩に惹かれた伊佐早によって米沢にもたらされた書籍は伊佐早の書庫「林泉文庫」に入り、その後上杉家を経て市立米沢図書館の蔵書となりました。そして、先の第二次世界大戦の戦禍を免れ、今回89年ぶりに一時里帰りすることになったのです。

沖縄への貸出に関し、取扱い等には万全を期しますが、万々が一に備え、順番を変更して今回の助成事業でデジタル化を行いました。そのデータを利用して複製本も作成されるようです。デジタル化はインターネット公開の利便性と共に、災害等に対する資料の保存に有効な点を改めて実感したところです。

市立米沢図書館デジタルライブラリー  試験公開を開始しました !!

3月の本公開の準備段階として、本日(1月25日)、市立米沢図書館デジタルライブラリーの試験公開を開始しました。
 市立米沢図書館のHP( http://www.library.yonezawa.yamagata.jp/ )から、デジタルライブラリーへ入ると、21点の資料の画像(コマ数でいえば、5,714コマの画像)が見られるようになりました。

市立米沢図書館デジタルライブラリートップページ

その中には、戦国の智将・直江兼続が慶長12年に京都で印刷させた「文選」(「直江版文選」として有名)31冊や、名君として名高い上杉鷹山が飢饉にそなえ配布した野草の調理法を記した「かてもの」など、貴重で興味深い資料も入っています。
また、「江戸道中絵図」は、米沢から江戸までの道中や宿場町を描いた絵図帳で、画像のページを進めてゆくと、当時の街道を歩いているような気分にもなります。ぜひお楽しみください。
まだ試験公開で作成中の検索機能もありますが、当館所蔵の貴重書の一部が、インターネットで全国・世界中で見ることができる状況となりました。
今後、皆さまからのご意見を賜りながら、3月に100点の資料を公開すべく、作業を進めてゆきたいと思っています。お気づきの点がありましたら、市立米沢図書館までご意見・ご質問をお寄せ願います。

NHK山形放送局のニュースで報道される

市立米沢図書館デジタルライブラリー構築事業については、地元紙の米沢新聞には8月14日に、山形新聞では8月29日に紹介されたところです。

 
今回、スキャン作業が始まったことで、NHK山形放送局から取材を受け、11月21日の夕方のユース「やまがた6時」の中で、デジタル化作業の様子とデジタル化対象の当館所蔵の貴重な資料等が約3分間ほど放映されました。

デジタル化作業が始まり、来年3月にはHP上でも公開されるのが本来の趣旨でしたが、取材・撮影の中で、貴重書を入れた桐箱が並ぶ書庫の様子や、藩政改革で著名な上杉鷹山公が手にした書籍を納める「鷹山公御手沢本」の書棚など、映像的にも絵になる部分が気に入られたためか、そちらの紹介が多く映ったようです。


書庫の内部 米沢善本や興譲館本の棚

 上杉鷹山公御手沢本の書棚


市立米沢図書館では平成7年に古典籍・古文書類を保存用桐箱に収める事業を行い、桐箱の中に大切に収納されています。私たち職員には見慣れた風景ですが、一般の方々には、整然と並ぶ膨大な量の桐箱は、ちょっと驚きのある風景かもしれません。

現在、こうした桐箱に納められた古典籍などが、一冊ずつオーバーヘッドスキャナーを使用してデジタル化されているところです。

資料のスキャン作業が始まる

助成事業の報告、御無沙汰していました。
市立米沢図書館デジタルライブラリー構築事業ですが、11月5日(月)に当館の郷土資料室に機材を搬入、いよいよ資料のスキャン作業が開始されました。3月末迄に300点(約920冊・8万コマ)のデジタル化が完了する予定です。

スキャン作業開始までの経過ですが、デジタル化及びHP上で公開する資料の選定作業から始まりましたが、悩みながらの選択となりました。当館で所蔵する米沢善本・興館本・林泉文庫・鶴城叢書・鷹山公御手沢本・寄贈寄託文書・郷土本といった特殊コレクション、約4万冊の古典籍・古文書の中から300点を選び、さらにHP公開の100点に絞るのは、結構大変な作業でした。
全国の研究者から閲覧要望の多かった資料、書籍の底本となった貴重な古典籍、米沢の歴史を記した資料を優先的にデジタル化する方針でしたが、思っていた以上に貴重な資料、紹介したい資料が多く、限られた予算内(コマ数)で調整するのに苦労しました。また、同時に撮影コマ数を確定するため、丁数を新たに数えなければならない資料も多く、時間がかかる要因となりました。
なお、選択作業の中でも新たな発見が様々ありましたが、その件は次回に紹介したいと思います。

次に、資料のデジタル化作業の委託契約ですが、県内3業者による指名競争入札を行い、予定より安く無事落札となり、当初計画より多くの点数のデジタル化ができることになりました。
なお、委託契約については、図書館振興財団の振興助成事業でデジタル化事業を行った長崎県の平戸図書館(平成22年度助成事業)や岩手県立図書館(平成22・23年度)に、仕様書や契約書の様式を送ってもらい、参考にさせていただきました。厚くお礼申し上げます。

はじめまして

はじめまして、山形県の市立米沢図書館です。
米沢市は上杉氏の城下町で、NHK大河ドラマ天地人」で有名となった上杉景勝直江兼続主従や、藩政改革を成功させた名君・上杉鷹山(ようざん)の治めた街です。その流れを受け、当館では藩校・興譲館(こうじょうかん)に伝わった古典籍や武家文書などを多数所蔵しております。

今回、図書館振興財団の助成を受けまして、仮称「市立米沢図書館デジタルライブラリー」構築事業を行うことになりました。当館で所蔵している貴重な古典籍や米沢独自の古文書などをデジタル化して、ホームページ上で公開する予定です。現在は、4万冊(点)を超す古典籍・古文書の中から、優先してデジタル化・公開する資料の選択に入っています。

最初のブログとして、公開予定の資料の中から、「古文真宝後集抄」21冊(米沢善本139)を紹介します。天正16年(1588)、直江兼続が上洛した折、妙心寺の南化和尚から借用して書写したものです。南化は一ヶ月程で写し終えた兼続の熱心な姿に、「節義の高い人物」と賞賛した序文を与えています。人数をかけ筆写したようで、各冊の筆跡は異なります。この市立米沢図書館デジタルライブラリーの公開で、ホームページ上でも筆跡の違いが見られることになります。

今後とも宜しくお願いいたします。